製薬企業研究職のキャリアプラン(2)

先日研究者がどんなキャリアを歩んで行くか、

という記事を書いたところ反響が大きかったので、

より詳細に述べてみたいと思います。


前の記事でも述べたように、

研究職から社内の部署への異動は、

もちろん本人のスペックにもよりますが、

異動先で重宝がられることが多いです。

やはり、医薬品がどのようにして

創りだされるのかを、

実体験に基づいて総合的に理解できている

という要素が大きいのだと思います。

以下、主な異動先についてみていきましょう。


研究職から展開しやすい職種

臨床開発

 異動先としてまず有力なのは、臨床開発です。

非臨床(動物実験)でどのようなデータがあるか、

どういうコンセプトで創られた医薬候補品なのか、

を科学的に理解していることは、

とても大きなアドバンテージです。

非臨床の経験や知識を、

最大限発揮できる環境であると言えます。

研究者の中には、自分で担当してきた候補品が、

臨床ステージに上がるのを機に、

一緒に臨床に移ることを希望する人もいます。

メディカルアフェアーズ(MA)、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)

MAとMSLが何か、という事については、

長くなるのですみませんがググってみてください。

この仕事では、自社医薬品の科学的な性質や、

対象となる疾患について、深い理解が求められます。

対象疾患において、

どんな治療が求められているのか

(アンメットメディカルニーズの把握)を

理解し把握しておく必要があるので、

これも研究者としての能力が存分に生かせる

業務であると言えます。

製品戦略

会社によって部署名は様々ですが、

会社としてどんな疾患領域に取り組むのか、

あるいはどんなモダリティ

(合成低分子、バイオ医薬、核酸、再生医療など)に

注力するのかなど、

開発の方針を決める部署があります。

ここでも医学、薬学の

高度な専門知識が必要なため、

研究所からの異動が定期的に発生します。

この種の業務を担当する部署は、

会社全体の研究開発方針に大きな影響力を持つ

花形部署となります。

製造、分析部門

研究開発の段階から商業製造にステージアップ、

スケールアップする際にも、

研究的な知識や経験が必要です。

コスト削減のための製造プロセス改良は

常に要求され、その検討には

研究的な要素も必要となります。

また、製品を販売するために必要な

分析の責任者として、研究所出身の方が

その任に当たることもよくあります。

品質保証

こちらは必ずしも研究的な要素は必要ありませんが、

研究の知識があれば

活かせる場面は多々ありますので、

異動先の候補となり得ます。

特に製薬業においては、

医薬品不足がニュースなどで

良く取り上げられていますが、

品質保証が十分できていなかったことが

問題の本質としてあります。

今後増々重要度が増してくる機能だと思います。


自分でしっかりとキャリアプランを考える

このように書き出してみると、

営業や人事、経理などのスタッフ部門以外は

ほとんど候補となり、

研究の素養が活かせる環境が

ふんだんにあることが

ご理解いただけるかと思います。

研究職を経験しておくと、その後の職種の選択肢が

ふえることは間違いないと思います。

ご自身のキャリアプランをしっかりと立てて、

しかるべきタイミングで必要な知識や経験を

積んでいって下さい。

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