製薬企業とアカデミアの研究の違い
企業の研究職に興味がある方は、研究のやり方においてアカデミアとどう違うのだろう?という疑問を持たれるのではないでしょうか?
一言で言ってしまうと、単純に研究する目的が違う、という事になると思います。
企業の目的が”世の中のニーズがあるものを創り出し、それを安定的に供給する”ことであるのに対し、アカデミアでは、”真理を探求する”ことを目指して研究が行われていると思います。
最近では大学などの研究機関でも、企業顔負けの”ものづくり”に精を出すところが増えてきたように思います。
しかし、”量産して供給する”というところまでは手が回らないことがほとんどなので、やはり目的が違うという事になると思います。
視点を変えると、目的以外のことはほとんど変わらない、とも言えると思います。
実験を行うのに必要な知識や技術、実験結果を解析するための手法などはほとんど変わりがありません。
敢えて違いを挙げるとすれば、研究テーマのGo/NoGoのシビアさが両者でかなり違うというところでしょうか。
企業がビジネスとしてものづくりを行うためには、回収できる利益がそれまでの投資を上回らなくてはなりません。
そのため、ある一定期間で成果が上がりそうになければ、かかるコスト(投資)が増大して十分な利益が回収できなくなるので、容赦なくプロジェクトは中止に追い込まれます。
また、例えば製薬会社の例でいえば、競合他社が同種同薬効の薬剤開発に成功すれば、その先行する薬に対して何か明確に差別化できるポイントが無い限り、自社のプロジェクトは速攻で打ち切られるのが常です。
このような違いはありますが、前述したようにやるべきことはあまり変わらない、という認識でいてもらえれば良いと思います。
就活生の皆さんから、面接時の逆質問で”企業の研究は何が違うのか”と聞かれることが良くあります。
企業の長期インターンなどで研究所内部の状況を見ない限り、その辺りの感覚はよくわからないはずなので、就活生の皆さんが疑問に思うのは当然のことだと思います。
なので、この手の質問に対しては、”目的は違いますがやるべきことはほとんど変わりませんよ”という説明を私はしています。
晴れて志望する企業に入社して、研究所で活躍する機会があれば、学生時代に培った知識や技術をフル活用して成果を挙げてもらいたいと心から望んでいます。