製薬研究職のキャリアプラン(1)

製薬に限らず、メーカーの研究職は、理系大学院生にとって魅力的な進路の一つだと思います。

ただし、定年まで研究職を続ける人はほんのごく一部でしかありません。

研究職で就職した人は、その後どんなキャリアを歩むのでしょうか?

その選択肢はかなり広いです。

製薬業の研究職を例に解説してみたいと思います。


研究の職種としての特徴

念願かなって製薬会社の研究所に配属された後、

どんなキャリアを積んでいくのかについて

綴ってみたいと思います。

皆さんよくご存じのように、

企業の中では定期的に人事異動があって、

様々な職種をまたいで人が異動していきます。

研究職の異動は他の職種とは

ちょっと違う特色があって、

それはほぼ出ていく一方だということです。

研究職に従事する人は、

常に最新の科学を自分の仕事に取り入れて

プロジェクトを進めていく必要があります。

そのような背景があるので、

ほかの職種から研究所に転入してくるケースは

ほとんどありません。

きわめて高い専門性が要求されるので、

研究以外の専門を持つ方が、

後から研究に必要な専門性を身に着けるのは難しい

ということです。

毎年研究所には、新卒がかなりの数配属されますが

研究所で数年過ごした後は、

毎年少しずつ他の部署へ異動していく、

というのが一般的だと思います。


研究職から異動する先の職種にはどんなものがあるか?

では、その人たちはどこへ異動して

いくのでしょうか?

若いときに研究開発のプロセスに触れて、

新薬が研究レベルでどのように生み出されるかを

しっかり理解しておくと、

どこの部署に移ってもとても重宝されます。

新薬が実際にどのように創り出されるのかが

体感で理解できているので、

臨床開発や薬事に関する

規制当局(厚生労働省など)の対応をはじめとして

販売戦略の立案などにも

創薬で培った知見を活かすことができます。

また、製薬会社にはMedical Affairesに

関する部署があって、

自社が扱う薬の臨床研究などを通じて

薬の性質を明らかにし、

その情報を論文化して世に知らしめるような

仕事もあります。

この業務は自分で実験することはありませんが、

高度な科学の専門知識が必要なので、

研究所出身の方が活躍できる職種の

一つだと思います。

他にも製造部門の製造プロセスを検討する部署や

品質管理部門などに異動するといった

ケースもあります。


会社を辞めるまで研究所で働きたかったら・・

1. 研究開発担当役員になる

研究所は、途中からよその部署の人が入ってこない

(他社からのキャリア入社はありますよ)、

いわゆるサバイバルレースだという話を

冒頭でしました。

サバイバルレースだという事は、

何年かに一人、上り詰める人もいるという事です。

研究所長、いわゆる研究トップになれば、

研究所で会社人生を全うできる確率が上がります。

まれに、部長クラスで研究所で定年を迎える人も

いますが、

最新の科学を追いかけなければならない部署で、

定年間近の人が中間管理職をやっているのも

正直どうかと思うので、

これはあまりおススメはできませんw

2. 専門性を極限まで高めて、フェローになる

呼び方は会社によっていろいろですが、

著しく高い研究業績を挙げることで、

マネジメントポスト(部長や課長)とは別に、

専門性の高い人財として処遇を受けられる

可能性があります。

いちばん有名なのは、リチウムイオン電池で

ノーベル賞を受賞した吉野 彰さんでしょうね。

彼は旭化成の名誉フェローというポジションで

現在も活動されています。

吉野さんほどではなくても、

メジャーな学会で名が通るくらいの実績を残せれば、

リサーチフェローとして研究所に

ずっと所属することが可能になります。


まとめ

このように、研究所での経験は、

企業内のとても広い範囲の部署で

活かせることがお判りいただけるかと思います。

研究をやりながら、自分の適性や

本当にやりたい事についてよく考えてみて、

どのタイミングで方向転換を図るのか、

ご自身でよく考えてみることをおススメします。

研究職で企業に入社して、

自分の興味や適性に応じて様々な部署に

展開していけることは、

研究職の大きな魅力の一つと

言えるのではないでしょうか。

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