新卒は読み易いESが最強
時は数年前、春先だというのに首をすぼめたくなる寒い日の朝7時30分。
本社ビルの外来者も入れるフロアの会議室で、新卒採用の一次面接が始まろうとしていた。
一次面接は数日に分けて何回か行われるが、そのうちのある日、という事でご認識いただきたい。
実際に面接が始まる前に、人事から面接官に対して、注意事項やその日の受験者数、スケジュールなどの説明がある。
20代後半の若い人事担当者が口火を切る。
”お手元の資料をご覧ください。一番上のリストが本日の受験者となります。本日は辞退者もなく21名を対象に面接していただきます。”
”21人かぁ”
声に出すつもりは無かったのだが、心の声が思わず出てしまった。
人事の若者が黙ってしまったので、バツが悪くて私は続けて余計なことを言ってしまった。
”一日20人超えるとキツいんだよね。もう少し絞れないの?”
”・・・・・・やろうと思えばできます。”
ちょっとムッとしたのを一生懸命隠そうとしながら、若者が言葉をつなぐ。
”でも僕は4000人以上のESに必死に目を通して、一人ひとり面接に上げるかどうか悩んで選び抜いた人たちをこのリストに上げています・・・・”
”いや、ごめん。私が悪かった。もうわがまま言わないから続けてください。”
若者の言葉をさえぎって、私は自分の非礼を詫びた。
ウチの会社は就職人気ランキングで常に上位にいるので、応募数もかなり高いレベルで維持されています。
そんなこともあって、新卒一括採用の時期、人事担当者は文字通り寝る間もないほど多忙を極めますが、そんな極限状態でも人事担当者は一人ひとりのESの隅々まで目を通し、真摯に対応していることに頭が下がります。
ESの書き方的なノウハウも、世の中に溢れるほど提供されていますが、上のような環境で評価されることを考えると、何をおいても大切なことは ”読みやすいこと” に尽きるのではないでしょうか?
論旨がかみ合っていなかったり、何が言いたいのかよく判らない文章は読み手にストレスがかかります。
皆さんもESをいったん書き上げたら、読んだままスッと頭に入ってくる構成になっているかどうか、第三者に評価してもらうことをお勧めします。
当然ですが、書いた本人は内容が判っているので、読みやすいかどうか正当に判断できないのが普通です。
第三者に評価してもらう、というのがポイントです。